設計というと図面を書いていたりなんか難しそうと思う方が多いのではないでしょうか。
そんな設計について土木の分野からできるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
前回説明した土木業界の仕事の種類について①発注者②測量③地質調査④設計⑤工事準備⑥施工と説明してきました。
設計では①②③⑤⑥の全てを考慮して図面を作成します。
設計で大切なことは大きく分けて7つあります。
①経済性 ②安全性 ③施工性 ④工期 ⑤環境性 ⑥維持管理のしやすさ ⑦撤去のしやすさ
以上、7つです。順番に解説していきたいと思います。
①経済性について
経済性とは、よりお金をかけずに設計することです。
よく検索サイトなどで価格の安い順などで調べることがあると思いますが、それと同じで、この材料はこっちの方が安いかな、こっちの工法のほうが安いかなと調べることでトータルしてどのぐらいの値段になるかを計算します。発注者としても安く抑えたいですので設計の方針が決まる一つの要素になります。
②安全性について
安全性とは、構造物や土が安全かどうかを設計することです。
構造物が安全かどうかは設計条件で変化します。設計条件とは荷重条件(力の強さ、方向、範囲、伝わり方など)や地盤条件(土の強さなど)、部材条件(部材の強さなど)、用地条件(施行可能な範囲など)などことを指します。
まずは設計条件を固めてから設計するのが1番効率が良いです。この前提が崩れると1からやり直しになる可能性があります。
また、設計をするときどの基準に沿うかというのは重要です。これは発注者との相談になることが多いですが設計基準がどのようなものかは必ず最初に決めておく必要があります。自治体独自の基準もあるので設計をする前に頭に入れておくことが必要です。
設計の基準となる設計書に関して、土木では使う頻度が多いのが、建築物によりますが、道路橋示方書(日本道路協会)、建築基礎構造設計指針(日本建築学会)、設計要領(NEXCO東、西、中日本)などは多いように感じます。そこに建築物独自の設計基準が多々存在するイメージです。
次に、構造物が安全かどうか土質力学や、構造力学、水理学、コンクリート工学、建設材料力学などを駆使して照査(チェック)していきます。
これら全ての照査が完了し、基準を満たしていれば構造物として図面に書き起こします。基準は一つでも満たしていなければやり直しになるので注意が必要です。
③施工性
施工性とは、施工のしやすさ、施工時に安全かどうか、工期、材料の調達のしやすさなどを考慮することです。
実際に設計しても施工できなければ意味がありません。施工不可能なものを設計しても意味がないですし、あるいは難易度が高いものを設計しても大変なので、できうる限り施工のしやすいように設計することが大切です。また、作る際に工事する人が危険な設計をしても作業どころではありませんので安全度が高いように設計するべきです。また、工期がかかりすぎてもお金もかかりますし、工事の人も次の仕事がありますので考慮する必要があります。あとは材料が市場に出回っているかも大切です。施工する際に実際に材料が間に合わないのであれば設計しても意味がありません。特殊な材料を使うときには注意が必要となります。
④工期
工期とは、設計期間、工事期間など物事にかかる日数です。
工期は長ければ経済性が落ちますし(人件費などのお金ががかかる)、短すぎると安全性が損なわれる可能性(焦りなどによる事故の発生の可能性)があります。
なので、長すぎず、短すぎない工期の設定が求められます。これは経験が大きな割合を占める部分が大きいので若手は経験者に教えてもらいながら自分の感覚を養っていくのが通常と思われます。
ネットワーク工程表(完成までの最短期間を求めやすい)やバーチャート工程表(スケジュールが確認しやすい)などその現場、仕事に適した工程表の作成が必要になります。
⑤環境性
環境性とは主に6つあります。
①自然景観の保護を中心とした景観保全
②動植物及び生態系への影響
③廃棄物の処理(残土の処理)
④天然記念物などの文化財の保護
⑤レクリエーション施設並びに関連諸工事との協調
⑥騒音、振動、工事用車両の通行に伴う交通阻害
どれも言葉通り大切な部分で、当たり前にも感じますが、土木設計ではこういったことも考慮しています。
⑥維持管理のしやすさ
維持管理とは、構造物を作成した後、出来るだけ長持ちさせるように管理することです。
構造物は作成した後に長く使うのが経済的にも基本的には良いですから、そこで、維持管理がしやすいように設計時に考慮することが大切です。
⑦撤去のしやすさ
撤去とは使用した構造物を廃棄、または取り除くことです。
構造物は必要以上に地中に埋めてしまったりすると撤去時に莫大な費用がかかる可能性があります。
例えば、山の中で車も入っていけないような場所にヘリコプターなどでコンクリートなどを運び、構造物を作った場合、何十年後たった後に撤去する際、同じようにヘリコプターで撤去物(コンクリートの壊したかたまりなど)を運ぶことになると地面深くに作れば作るほど、材料をつぎ込めばつぎ込むほど、撤去時の作業は大変なことになり、費用もかさみます。山に限ったことではありませんが、設計する際は最終的に構造物が役割を終えた後のことについても考慮する必要があるといえます。
以上、土木設計について解説しました。 参考になればうれしいです。
普段行っているとはいえ、文章まとめるのは難しいですが、少しでも役に立てばと思います。
ではでは。
コメント